監事の職務は理事会からの独立性が重要

マンション標準管理規約上の監事とは

標準管理規約に定める監事の職務は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならないと定められています。

業務の執行の監査とは、マンションでの各点検や修繕工事等の実施状況や総会での決められた決議事項の執行状況、管理組合運営での維持管理上の問題点の指摘などを行います。

財産の状況監査とは、会計監査であり、予算、決算での会計上の数字があっていることの確認を行います。

会計書類上との預貯金残高の一致、支出の証憑類の整然の確認だけでなく、管理費や修繕積立金の未収金の額の確認や滞納の督促状況の確認などを行います。

また、上記の監査上での不正があると認めるときなどは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければなりません。

正確性を担保するため監事には、報告請求権と調査権が認められ、理事会での出席義務が課され、必要があると認めるときは、意見を述べなければなりません(監事は必要がある場合には理事会や臨時総会を招集できます。)。

マンション管理組合の決算をチェックする監事のポイント

残念ながら、マンション管理会社の従業員が、管理組合資金を横領する事件がなくなりません。

そのような状況のもと、管理組合としては、資産価値を下げないよう口座管理、決算チェックを十分に行わなければなりません。

では、どのようなチェックがよろしいのでしょうか。

まずは、貸借対照表の預金残高と銀行預金の残高証明書の数字の一致です。


数字の一致は、預金の目減りのないことの証明となります。

しかし、この場合でも決算日の直前に口座へ入金し、直後にそれを取り戻すといった悪質な犯行もありますので注意が必要です。

次に、収支計算書のチェックです。


収支計算書の収入と支出をもとに、預金通帳の期首からの確認です。

当然に証憑類の取引期日と預金の出し入れの整合性の確認が必要となります。

監事の責任

監事にも理事と同様に善管注意義務(業務を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常 期待される注意義務)や誠実な業務執行が求められる可能性があります。

その職務は、理事長に次ぐ重要な職務です。


「理事とは違うから、お飾り的な役職だろう」と思うことは、大変、軽率な考え方となります。

理事長や管理会社の不正により損害を受けた場合に、それを指摘できなかった監事が善管注意義務違反により損害賠償請求を受けかねません。

持ち回りにより半強制的な監事等の役員就任という条件では、損害賠償責任を負うことは考えにくいですが、とても重要な職務であることには変わりません。