総会での緊急動議!?

総会での合意形成上の場で、新たな意見や事業計画の変更となる、緊急動議、変更の議案があがることが多々あります。

通常、総会の議案については、あらかじめ事前に区分所有者へ議案の要領程の通知を行い、意思確認の事前準備を行うことになります。

しかしながら、当日の総会での出席が叶わなく、意思の通知を行うのが難しい場合は、事前に議案書の内容を承認するため、委任状や議決権行使書で意思表示を区分所有者は行ないます。

そのような場合に、緊急動議により新たな事業計画等が決定されると、あらかじめ意思表示をした区分所有者の考えが、無意味、想定外の方針決定となり、問題となります。

そもそも、緊急動議とは?否定された裁判例

緊急動議は「会議において議事予定にない緊急の発議を議題にのせること,またはその発議そのものをいう。」とされ、区分所有法第35条でも、「集会の招集の通知は、会日より少なくとも二週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない」とあり、さらに、第37条には、「集会においては、第三十五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる」とされていて緊急動議は否定されています。

緊急動議での決定ではありませんが、東京地裁昭和62年4月10日の古い裁判例では、あらかじめの通知のない規約設定の方針が総会で決議されたことについて、裁判所では、その決議を無効とした判断があります。

このように事前に通知されない議案についての決定は難しく、改めて理事会などでの話し合いを行い、再提案されることが望ましいとなります。

理事会で決定できること、総会で決定決定できることの判断は、法律上の判例、マンション標準管理規約、指針等をもとに管理組合内で検討され、選別は難しいですが、不意打ちとなる動議での重大決定はやはり無効となるでしょう。

では、緊急動議は絶対にダメ?

例えば、特別決議とされる規約改定につき、一字一句の多少の文言の誤記で、度々臨時集会で変更することには無理があります。

区分所有法第37条2項「前項の規定は、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない。」とあり、あらかじめ通知した事項以外でも規約で定めれば決議も可能となり、普通決議事項とされる議案に対しての動議は可能とされています。

また、同第36条には、「集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。」とあり、追認できる状況であれば、動議も可能であることは間違いないと思います。

委任状には、動議が提出された場合にも代理人に委任するとの明記、定足数と議決権行使書を考慮したうえ、動議を決議する必要があります。

結局のところ、規約にて修正動議等を認める規定がなければ取り扱うことはできないとなります。