勝手な専有部分や共用部分のリフォーム工事は違法!?

分譲マンションにてリフォームを行う場合には、管理規約等の定められたルールに従って行わなければいけません。

そのルールは、区分所有者のみでなく賃借人も従うことになります。

その理由は、

・専有部分のリフォームによる他への悪影響の阻止
例えば、リフォームに使用される床材にはルールがあります。既存のカーペットを除去してフローリング仕様の床に変更するといったリフォームは、防音上、大変問題となることが多く禁止されていたり、床材の仕様については防音性能が、定められた基準以上のもので使用されていることがリフォームの条件としている管理組合もあります。

・リフォームが共用部分に悪影響をもたらすことの阻止
分譲マンションには共有部分と専有部分がありますが、リフォーム工事が共用部分に悪影響を与えるものとして、重要視されるのが構造耐力上に影響を与える工事です。共用部分となる躯体部分である柱や壁を撤去したり、穴を開けるといった耐震性や耐火性を損なうような工事はとても違法性も高く、許されないため、事前に確認が必要です。また、勝手にマンションの美観を損ねる外観変更や防災上の緊急避難通路を妨げる工事も悪影響を与えるため、阻止する必要があります。

・各住戸にリフォーム工事の環境上の影響を周知する
配管工事等を伴うような完全リフォームは何週間にも及ぶ長期的な工事となります。その期間中の作業は騒音が発生します。それをあらかじめ周知することにより苦情を未然に防ぎます。

リフォームがルールに従わず行われた場合には、工事の差止めや原状回復を求められることにもなりかねませんので、管理組合で決められたルールを踏まえた上で工事を行うようにしましょう。

管理組合へのリフォーム申請の要件

マンション標準管理規約には専有部分の修繕等に関する条文があります。

それは、リフォーム工事が共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれがある場合には、あらかじめ、理事長にその旨を申請し、書面による承認(理事会の決議)を受けることとなり、承認を受ける必要がない場合でも共用部分又は他の専有部分への影響について
管理組合が事前に把握する必要がある工事を行おうとするときは、理事長にその旨を届け出なければならないとされています。

そして、工事の具体的内容を示す、設計図や仕様書、工程表の提出も必要となります。

当然に主要構造部に影響を及ぼす行為を実施することはできません。

マンション標準管理規約第17条関係のコメントでは、承認を必要とする共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある工事についての具体例等をあげています。

共用部分の変更にあたる工事には、総会の決議が必要ですし、承認について専門的知識が必要な場合には、専門家の協力を得ることを考慮する必要性がコメントされています。

また、区分所有者が行う工事に対する制限の考え方においての承認の必要性、届出の必要性についてマンション標準管理規約コメントの別添2に詳しく考え方が記されています。

このように専有部分だからといって、自由に居住者は好きなようにリフォームをすることはできませんので留意して行って下さい。