マンション内の用途変更には特別決議!?

マンション内の用途変更となる共用部分の変更が、その形状又は効用の著しい変更を伴うものは、区分所有法第17条により、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議(区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。)で決する特別決議ということになります。

共用部分が規約により専用使用権が設定されている場合のバルコニーや専用庭等が、集会の決議なしに改造、改良等された場合には、共同の利益に反する行為として、違反行為の差止めや原状回復請求の対象となってしまいます。

例えば、専用庭を庭として利用すること止め、塀などを壊して門扉を設置して駐車場として利用した裁判例があります。

結果として専用使用権者に対し建造物の撤去が命じられものがあります。

また、専有部分の用途変更においても、基本的な考えは、所有権において自由に使用できますが、規約により居住以外の目的に使用を禁止するような場合は、当然に規約変更の特別決議が必要ですし、共用部分に影響を及ぼすような専有部分の改造等の工事にあっては、共同の利益に反する行為として違反行為の差止めや原状回復請求の対象となります。

普通決議の場合と特別決議の場合の変更とは?

変更とは、物の性質や用途、機能等を変えることで、相当程度物質的変更を伴うこととされています。

区分所有法では「形状または効用の著しい変更」を基準に、変更の決議に、普通決議か特別決議かに分かれます。

外壁補修工事や鉄部塗装工事、給排水管更新工事などの大規模修繕工事にあたるものや
構造部分への加工が小さい場合のバリアフリー化工事や耐震部材を設置する耐震化工事は、普通決議として一般的にはされています。

敷地内の広場等を駐車場、駐輪場に変更する場合や多目的ホールとなる共用部分を集会室へ変更するなど工事内容が軽微なものであっても用途変更となるものは、特別決議が必要です。
 

用途変更には全員合意が必要な場合もある

マンション内の施設として、特別なサービス(インストラクターの配備されたケア付きマンションなど)があることを条件に、そのマンションを購入した居住者がいる場合は、その施設を廃止することは、本質的な内容を変更する用途変更なので区分所有者全員の同意が必要と考えられます。

それが、単なるそのマンションに対しての付加価値をつける施設(キッズルーム等)の撤去等の場合の用途変更は、特別決議として考えられます。

以上をまとめると、最終的に普通決議か特別決議かの判断はケースバイケースで総合的に判断するほかありませんが、用途変更の合意形成の説明、過程には、その変更により管理組合財政は改善されたり、他の用途に変更することでさらに有意義に使用できる等、その管理組合にとってよい条件であることが必要となり、事前説明、準備が最重要となるでしょう。