マンション管理組合の組織

マンション管理組合に加入することとは?

分譲マンション所有者(以下、区分所有者)は入居したと同時に組合員となります。

区分所有者は本人の意思に関係なく、管理組合に加入することになり、団体の構成員となります。

なお、マンション居住者の中でも賃借人は管理組合に加入するのではなく、賃貸人である区分所有者が管理組合に加入することになります。

区分所有法第3条には「区分所有者が全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」とあり、これがマンション管理組合の根拠となります。

つまりは管理を行う団体としての存在意義があり、管理組合に加入し、マンションを適正に維持・管理してお互いに快適な生活を送ることを目的とします。

管理組合はマンションの安全な環境と資産価値を守ります。

もしも、管理組合が機能しなければ、マナーを守らない住民の生活トラブル(ペット問題、騒音問題、ゴミ問題等)が抑制できなかったり、数年ごとに必要な修繕計画が疎かになって合意形成や資金計画がうまく行かず、マンション自体スラム化し、終の棲家どころではないでしょう。

そうならないように、管理組合の構成員は管理方法について知ることが重要でしょう。

区分所有法では集会(総会)を年1回以上開催することを定めていて、組合員の意思を適宜確認することを求めていたり、公正な管理ができるように管理組合として区分所有者が守るべきルールを作成した管理規約の作成や多数の区分所有者が全員で一斉に管理をするのは困難なため、代表となる管理者を定めることを定めています。

マンション管理組合はどのような業務を行うのか

マンション標準管理規約では以下の業務を定めています(最終改正平成23年版)。

1、管理組合が管理する敷地及び共用部分等の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
2、組合管理部分の修繕
3、長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
4、建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
5、適正化法103条に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
6、修繕等の履歴情報の整理及び管理等
7、共用部分等に係る火災保険その他の損害保険に関する業務
8、区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
9、敷地及び共用部分等の変更及び運営
10、修繕積立金の運用
11、官公署、町内会等との渉外業務
12、風紀、秩序及び安全の維持に関する業務
13、防災に関する業務
14、広報及び連絡業務
15、地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成
16、管理組合の消滅時における残余財産の精算
17、その他組合員の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保するために必要な業務

以上のようにマンションの適正な生活環境や資産価値の維持、向上のために、居住者間のマナーについての生活管理や日常的な清掃、修繕、設備点検、長期的な修繕計画を立てる等のメンテナンス管理、それを管理組合で行う組織の運営、管理費、修繕積立金を集めたり等の運営管理が管理組合の業務となります。

管理組合と自治会の違い

管理組合と類似する自治会とは大きく目的や団体主旨が異なります。

上記で述べた区分所有者は引っ越しと同時に管理組合に加入しますが、賃借人は管理組合に加入することは出来ません。

ですが、管理組合と目的が異なる自治会では任意で加入ができますので賃借人が加入することができます。

自治会とは地域的な共同活動行うための地縁に基づいて形成されるもので任意に加入することができ、強制加入ではありません。

つまりは区分所有者でも加入は任意となり、当然に管理組合の管理費から自治会費を支払うことは法的には問題があります。

なお、戸数が多いようなマンションでは直接マンション内で自治会を設け、管理組合の理事会と共存しているマンションがあります。

そこでは自治会でのコミュニティ活動を理事会が支える形で様々な活動が盛んで、マンション内の交流が深まり、その後、管理組合の活動もスムーズに行われています。

管理組合の法人化

管理組合を必ずしも法人化するべきことではありません。

法人化にすることにはメリット、デメリットが存在します。

例えばマンション内のでの駐車場不足を解消するために管理組合にて近隣の土地を購入し、駐車場を増設することがあります。

この場合には管理組合名義では購入することはできず、理事長個人名義の購入となり、個人の財産と組合の財産との区別がつかず煩雑な手続きとなります。

そこで、管理組合を法人化することによって管理組合法人名義により購入し、不動産登記ができることになります。

また、管理組合財産である管理費、修繕積立金等の保管には金融機関との取引となります。

この場合の口座名義は○○○管理組合 理事長○○となり、これもまた個人の財産と組合の財産との区別がつかず、輪番で交代する理事長就任の際には口座名義を変更しなければなりません。

ですが、法人化することにより法人名義で統一した口座を作ることができます。

しかし、デメリットもあります。

管理組合法人化には法務局での登記が必要であり、理事長名も登記することになります。

ですから、理事長交代の際等の登記事項変更の場合は2週間以内に変更しなければならず、登記費用がかかります。

このように法人化にはメリット、デメリットがあります。専門家の意見を聞くなどし、必要に応じて検討することが望ましいでしょう。