マンション長期修繕計画と修繕積立金の乖離の現実?

計画不十分な長期修繕計画が招く修繕積立金の不足問題

分譲マンションでは、新築時当初からデベロッパー、関連管理業者から受けた長期修繕計画を当初のまま変更せずに、計画修繕を行う管理組合が多くあります。

計画通りに10~15年経過後の第1回目の大規模修繕工事を迎え、そこからの第2回、3回目を含む、新たな30年の長期計画修繕を見直す際には大きく修繕積立金の不足が取り上げられ、必要に迫られ段階的に修繕積立金の値上げを行う管理組合があります。

マンションを安全で快適に居住するには計画修繕が必要不可欠です。

とは言え、急な修繕積立金の値上げや修繕の為の一時金の徴収は居住者の負担が多く、高経年マンションの場合になると居住者の高齢化が進み、修繕費用が徴収できないといった問題も起こります。

どうしてもマンション販売業者は消費者に購買されやすいよう修繕積立金設定金額を低く促すようです。

それにより計画不十分な長期修繕計画が作成され、将来修繕積立金が不足するといった問題もよくあります。

そこで、修繕積立金が不足せずに管理組合では組合主体で将来に渡る計画修繕を立てることが必要です。

工事売り上げを期待する利益相反関係になりやす管理業者主体での計画修繕では頼り過ぎではないでしょうか。

定期的に見直しが必要な長期修繕計画

マンションの維持管理には組合運営のソフト面と建物、設備のハード面があります。

このハード面を長期的に維持管理するために行う計画が長期修繕計画です。

分譲時の計画には専有部分の計画や設備のグレードアップや更新工事計画が見積られていない場合が多くあります。

マンションの現状を自主的、定期的に点検し、不具合が発生する前に建物や設備の劣化、また耐用年数をもとに計画的に修繕が行えるように計画しましょう。

国交省では長期修繕計画の見直しを5年をめどに定期的に見直すよう提言しています。

この5年の間には消費税値上げや、工事材料費、人件費などの社会的経済的変化があったり、工事技術の変化で修繕費用が大きく変化することが考えられるからです。

定期的に見直しが必要な長期修繕計画を自主的に作成するには専門性が高く、多大な労力を必要とします。

専門家や公的なモデル比準法、積算法を利用しつつ管理組合主体で計画を立てるとよいでしょう。

修繕積立金の設定、改定の考え方

長期修繕計画での計画修繕費用が修繕積立金でまかなえるように積立金の金額を設定します。

区分所有者の負担割合は、一般に専有面積の割合で設定しますが、個々の状況に応じて負担割合が適正かつ公正となるように検討することが必要でしょう。

長期修繕計画をもとに作成される修繕積立金金額は将来必要となる最大費用の計画です、あくまで計画であり、実際の費用は下回る可能性も十分に考えられます。

しっかりと修繕積立金設定の際には計画費用の内容、根拠を理解してもらいスムーズに合意形成を図りましょう。

修繕積立金の改定にも総会決議が必要となります。

大幅な改定での場合、なかなか合意が得られないことも多いですので、必要な時期で必要な費用で修繕が行われるように管理組合主体で計画し、専門委員会検討事項などとしたりし、組合内での透明性が図られるよう十分に検討が必要でしょう。