多額な修繕費を防ぐ定期点検、命を守る法定点検

マンションで快適な居住環境を確保する為の重要な日常点検

マンションは劣化が本格的に進んでから修繕すると膨大の費用がかかり、管理組合会計を圧迫するだけでなく、修繕積立金の不足が大きな問題となります。

マンションを末永く快適な居住環境とするには、初期段階で問題を把握できるよう日常点検を行い、修繕し予防しましょう。

維持管理の点検には日常点検、定期点検、法定点検があります。

また、設備や構造の維持管理だけでなく日常清掃や定期清掃もまた、資産価値の維持を保つのに忘れてはいけません。

予防的な意味合いを持つ日常点検は非常に重要であり、普段からマンションを注意深く見回ることを心がけるとよいでしょう。

共用廊下や階段の汚れがひどくないか、ひび割れや、長尺シートのふくれがないかや屋上防水には水たまりがないか、雑草が生えていないかの日常点検があり、また、建物の外壁では塗装、タイルがはがれたり、浮き上ったり欠け落ちていないかを確認しましょう。

技術的に劣化判断が難しい設備であっても、見てわかる程度で日常点検を行えば初期段階で劣化を予防できます。

電気設備は破損していないか、サビていないか、安全な状態かや給水設備は水が濁ってないか、水圧が低下してないか、排水設備は臭いはないか、流れが悪くないかといった普段の生活の中での違和感を認識することです。

自主的に行う定期点検や法令から定められる法定点検

定期点検は自主的に行うことが主になります。

この後の法定点検と違い、点検報告を法令に定められた特定行政庁に届ける義務がありません。

義務がないからと言って行わないことは止めるべきでしょう。

各専門家や委託業者と検討し、それぞれにあった保守点検回数を決め、快適な居住環境に努めましょう。

法定点検は法律で義務づけられている点検、各点検には一定の時期に有資格者が行うことになり、無資格者には点検できませんので業務を委託する必要があります。

建築基準法、消防法、水道法等の各法律に基づくそれぞれの点検で維持管理のみだけでなく、マンション居住者の命を守る点検でもあります。

各法定点検は以下

法定点検の名称点検内容点検時期点検資格者
特殊建築物等定期調査マンションの敷地、構造、設備の調査6ヵ月~3年の間で特定行政庁が定める時期・特殊建築物等調査資格者   ・1,2級建築士
建築設備定期検査換気設備、排煙設備、非常用照明装置、給排水設備の検査6ヵ月~1年の間で特定行政庁が定める時期・建築設備検査資格者   ・1,2級建築士
昇降機定期検査エレベーターの検査6ヵ月~1年の間で特定行政庁が定める時期・昇降機検査資格者   ・1,2級建築士
消防用設備等点検・外観、機器点検   ・総合点検 機器点検…6ヵ月に1回   総合点検…1年に1回 ・消防設備士   ・消防設備点検資格者
専用水道定期水質検査水質検査、清掃、ポンプ等の検査水質検査…1ヵ月ごとに1回以上   水槽の清掃…1年以内ごとに1回 ポンプ等の検査…1年以内ごとに1回 厚生労働大臣の指定水質検査機関
簡易専用水道管理状況検査水質検査、清掃、ポンプ等の検査、設備の外観点検1年以内ごとに1回地方公共団体または厚生労働大臣の登録を受けた者
自家用電気工作物定期点検 高圧受電装置の点検月次点検…月1回   年次点検…年1回  電気主任技術者