総会における議長選任について

総会においての議長は、どのような方が担当するのでしょうか?

それは、区分所有法第41条「集会(総会)においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の一人が議長となる。」とあり、議長は原則として、管理者が就任することを法律上で明文化しています。

一般的な管理組合における管理者とは、理事長のことを示します。

つまり、規約に別段の定めや別段の決議、区分所有者による集会の招集請求に対して管理者が集会を招集しなかった場合等の例外を除き、理事長が議長に就任します。

また、マンション標準管理規約第42条5項にて総会の議長は、理事長が務めると示されています。

役員ではない他の組合員より、日頃より組合運営に携わる理事長が、総会の進行においてもスムーズにことを進めるであろうということに基づいています。

議長の権限は?

議長は総会の議事を円滑に運営する必要があります。

総会の開会、閉会の宣言や質問者、答弁者の指名、議事進行の順序を決めたりする議事整理権の権限があり、場合によっては、質疑を打ち切ったり、休憩をすることを判断することができます。

また、秩序維持権の権限により、不当、不法といった悪質性の高い出席者に対しては、議長は、発言を中止させたり、退場をさせる権限があるとされています。

ただし、逆に議長の運営が、権限を逸脱するような違法とされる状況であれば、総会自体が無効となり、決議の効力は認められませんので注意が必要です。

この権限について区分所有法には明示的にされていませんが、会社法第315条1項「株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。」同2項「株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。」の定めと同等のように権限があると考えてよいと思います。

なお、会社法に基づく権限による議長の退場命令に従わない出席者には、刑法130条の不退去罪であったり、暴言を吐く者に対しては、刑法234条威力業務妨害が成立し、警察への通報を行うことも可能です。

議長の議決権に対する考え方

規約により、総会の議事に対して、可否同数の場合には、最終的には議長の決断に委ねられる場合があります。

このような規約の場合での解釈では、議長には、最後まで議決権を行使できないと考えられます。

確かに議長には、進行役として中立性は求められますが、組合員であることには変わりなく、原則1票の議決権を持ちます。

重要な決定が、最終的に可否同数の場合には議長に委ねられることは、その議決権の1票の重みが違い、混乱を招くことにもなりかねません。

また、白紙委任状の場合に、議長に委任する場合もあります。

この場合も無関心な組合員の決定を議長に委任することは、あまりにも偏りすぎた判断となり混乱を招きかねません。

ですから、上記のような組合方針を定めることは、とても有意義とはいえず、マンション標準管理規約でも可否同数の議長の議決権についての扱いかたを削除しています。

ですから、日頃よりマンション管理組合の運営に関心を持って頂くよう組合員が参加してもらうよう広報、啓発することが重要となります。