隣にマンションが建設され、花火が観れなくなってしまった。

景観に関する紛争に有名な事例があります。

それは、東京地判平成18年12月8日の花火の観覧が、隣のマンション建設により出来なくなってしまう事例です。

当初、マンションの分譲業者は、マンション購入者に対して花火を観覧することができることを重視して販売していました。

しかし、この分譲業者は通りを挟んだ向かい側に、マンションを建設する計画を進めました。

これにより、花火を観覧ができなくなったマンション購入者が財産的損害、慰謝料等について不法行為に基づく損害賠償を求めました。

結果は、この両方のマンションを分譲した業者に対して信義則上の配慮する義務に違反するものとし、
購入者に対して損害賠償をしなければいけないこととなりました。

マンション建設の流れとは?

マンション建設を行う際には、建築確認申請が必要となります。

なりますが、その前段階で、各地方の条例により説明会を実施して周辺住民に建設することを周知し、報告書を行政へ提出することになります。

また、近隣状況の日影図を冬至日の8時から16時(各条例により異なります。)を基準とした図面を提出することになります。

様々な条例上の内容をクリアーし、建築確認申請等をすることになります。

建築確認申請とはどのようなものでしょう。

建設する建物の設計図が建築基準法に合致しているかどうかを審査するのものです。

高さや面積の制限に関することや構造的な強度に関すること等を確認します。

そして、確認済証を受け取ると建設を開始することができます。

しかし、法律上の手続きを経たとしても、近隣居住者の景観や風害といった実害に対しては建築基準法とズレがあり、これが紛争の原因となります。

建設後の建物を取り壊すことは非常に皆無といっていいでしょう。

ですから、隣地へのマンション建設を行われる場合には慎重な対応や交渉、対策が必要となります。

弁護士等の専門家を含め、多くの情報がありますので確認して頂きたいと思います。

新築マンションの窓等への目隠し設置

新築されたマンションの住戸位置が、貴マンションと隣接して建てられ窓が近く、住戸内まで見通せてしまうような設計がされる可能性があります。

このような状況を厳格に想定してまで建築基準法等に基づく建築確認は行われてはいません。

これでは貴マンションでは、生活上大きな支障となります。

そこでプライバシーを守るため民法第235条には、境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならないとあります。

地域の境界上の慣習もありますが、新築されるマンションへは窓の位置をずらしてもらことや目隠しを設置してもらうことを請求する権利は十分あると考えられます。

ただし、これをきっかけに隣地との関係が悪化する可能性も十分にありますので慎重な対応が必要でしょう。