専有部分のリフォームでのトラブル事例
管理規約や使用細則のルールを無視して、マンションの専有部分を自由にリフォームした場合に原状回復や工事停止を求められてしまうことがあります。
マンションには専有部分と共用部分があり、当然ながら、共用部分に影響を及ぼすような、また、他の居住者に影響を及ぼすような工事はできません。
原状回復、工事停止を求められたり、トラブルとなった専有部分の工事には、
・床材指定のある使用細則を無視し、カーペット床から防音性能の低いフローリング床に変えてしまった。
・勝手に構造上重要な耐力壁に穴を開けたり、取り除いて改造をした。
・室内にユニットバスを入れる為に、梁などの重要な躯体を解体してしまった。
・おおよそ共用部分である玄関ドアを、デザイン性を重視した防火性能の低い玄関ドアに変えてしまった。
・リフォームの際に、ルールを無視した施工方法により、騒音や振動が発せして苦情が生じた。
などが挙げられます。
専有部分リフォームに対する手続きや理事対応は?
玄関扉は錠と内側の塗装だけが専有部分だったり、窓枠、窓ガラスは共用部分、ベランダ、バルコニー、ポーチは、共用部分といえる専用使用部分など、リフォームには数々の制約があります。
そのため、建築基準法、区分所有法などの法令違反が行われないことや他の居住者への迷惑行為とならないようにと、理事会での承認が必要だったり、届出が必要となります。
マンション標準管理規約の第17条1項には、
「区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与える恐れのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。」といった承認規定。
また、第17条7項には、
「区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。」といった届出規定があります。
上記により、共用部分に大きな影響を与えたり、騒音や振動等により建物全体に影響を与える場合には、理事会の決議を経て理事長が承認、不承認を行います。
そして、建物への影響の少ない工事と考えられるものであっても、事前に理事長にリフォーム工事の旨を届け出て、管理組合が工事の過程における影響を把握する準備を行います。
管理組合としては、上記準備をすることでリフォームについて専門家の意見を聞いたり、
工事に際しては立入調査が行うことができるようにして無用なトラブルを防ぎます。