マンション管理適正化法103条、設計図書が無い!
管理会社の変更を考える機運が、管理組合内で高まれば、変更の具体的対策をする次の段階に進みます。
それは、現在の管理委託内容の問題点の確認などの今現在の問題の洗い出しをし、それを改善できる新管理会社を検討する段階です。
そこで、今後検討する複数の管理会社から提案された見積等を検証する場合には、管理委託契約の価格を計るために貴マンションの資料等を各管理会社へ提供し、現地調査も行ってもらいます。
しかし、見積をもらうにあたってスムーズに事が進めば良いのですが、様々な問題があります。
問題となるひとつには、マンション管理適正化法103条より、分譲業者より新築マンションの分譲を受けたときは、設計図書のうち国土交通省令で定めるものを分譲業者より交付を受けていることになっているが、この図書が全く無い組合が見られます。
たとえ、上記の図書がない場合でも委託契約の見積は取ることができるでしょう。
ですが、交付を受けていない、ずさんな管理状況で資産価値が非常に低下している場合には残念ながら管理を断る管理会社もあります。
ですから、必ずこのような図書はあるべき状態であってほしいものです。
マンション管理適正化法施行規則102条に工事が完了した時点での建物と附属施設の図面として以下のものを上げています。
1、附近見取図(案内図)
2、配置図(敷地内の建築物の位置や周辺の状況を表す図面)
3、仕様書
4、各階平面図(各階の間取りや敷地・道路との関係を示す図面)
5、二面以上の立面図(建物の外観を示す図面。東西南北立面図)
6、断面図又は矩計図(かなばかりず)(断面図とは建物を垂直に切って断面を示した図面。矩計図とは建物断面の全体寸法の基本をなす地盤の位置、床高、軒高、窓高、腰高、天井高など高さ関係を示す断面図)
7、基礎伏図(きそぶせず)(建物の荷重を地盤に伝えるために設ける構造部分(基礎)の配置、種類、大きさなどを示した平面図)
8、各階床伏図(各階別に床構造を平面的に示した図面)
9、小屋伏図(屋根と天井の間を小屋といいますが、その小屋部分の平面図。伏図とは、平面図のことですが、一般に、平面に投影した図のことをいいます。)
10、構造詳細図 (梁、柱、床、壁など建物の骨組の詳細図面)
11、構造計算書(設計荷重が建築物にもたらす応力や変形などの諸効果を力学的に計算した書類)
注意が必要なのが、管理会社を何社か変更した場合に上記図書が分譲業者から交付を受けているはずにも関わらず、その時の管理会社によって持ち出されてしまい紛失してしまった、ということがないよう注意が必要です。