前回では、大まかな共用部分と専有部分の違いをお伝えしました。
今回は、さらに一歩進めて説明したいと思います。
専有部分について…
区分所有法上での専有部分の要件としては、構造上の独立性(壁・扉・天井・床などによって、他の部分から遮断されている状態)と利用上の独立性(建物の部分が、独立して住居・店舗・事務所・倉庫その他建物としての用途に供することができるものでなければならない)を要件としています。
これらは、マンションだけを想定しているのではなく、倉庫や駐車場といった建物内で区分されたそれぞれの所有権、つまり、区分所有権を想定しています。
そこでマンションでは、区分所有法等を基本とし、マンション標準管理規約を設けて、専有部分について定めています。
(マンション標準管理規約)
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。
名の通り、上記条文は、基本的で標準的な考えであり、実際には、そのマンションに適した具体的な変更も必要ではあります。
専有面積を計る場合には、壁芯説(境界部分を壁芯とする基準)、上塗り説(境界部分を躯体部分と内装上塗り部分とする基準)、内法(境界部分を上塗り部分に囲まれた空間を基準)とあり、マンション標準管理規約では上塗り説を採用していますが、各マンションでの別段の定めができるため、明確にされてない場合は権利関係上のトラブルとなりますので、規約にて必ず具体的に規定する必要があるとおもいます。
共用廊下の電灯の交換は管理組合側負担で部屋の中の電灯の交換は区分所有者が行う、といった分かりやすい部分では、問題となることは少ないですが、玄関ドアや窓などは境界上にあり、区分所有者個人での交換は基本的にはできません。
また、間取りの変更をするのに居室間の壁を取り払うといった専有部分の変更は共用部分の構造上の問題があり、自分勝手に変更はできません。
マンション標準管理規約でのコメントでの利用制限を付すべき部分および複数の住戸によって利用される部分を共用部分とし、その他の部分を専有部分としています。
共用部分と専有部分との具体的な境界を定めることにより、今後の修繕の際の費用負担のおおよその位置づけになるため、正確な、そのマンションにあったすみ分けが必要です。
それでは、具体的に共用部分となる境界とは、どのような部分を言うのか、次回の「共用部分について」で紹介したいと思います。