原始規約作成にも利用される公正証書とは?

分譲マンションでは、一般的に分譲業者によって原始規約が作成されます。

公証人より公正証書とされた管理規約を、その後に区分所有者から承諾書をもらい正式な原始規約となります。

どうして原始規約を公正証書とするのか?

区分所有法第32条によって、共同住宅特有の複数の所有権(区分所有権)の基本となる
権利関係を明確にしてトラブルを防ぐことにあります。

区分所有法では、管理規約の作成は区分所有者の集会の決議で決められていますが、分譲直後には、管理組合自体の合意形成が難しいため、その煩わしさを省略するため、あらかじめ、分譲業者より作成されることになります。

公正証書とは、法務大臣より任命された公務員によって作成される公文書です。

私文書でも公証人により認証を受けた文書は、裁判上でも高い証明力を持ちます。

たとえば、裁判での判決、調停での調停調書、和解調書と同様に、債務名義となるもので、金銭上の支払い義務があるにも関わらず、履行されない場合には、作成された公正証書が債務名義となり、そのまま、強制執行となりうるほどの公文書です。

公正証書となった原始規約の内容とは?

分譲会社により作成される原始規約の内容が、何でも自由に決められ、それが全て公正証書とすることができるわけではありません。

その決められる内容、条件となる事項には、4つあります。

・規約共用部分の定め(管理人室や集会室などの定め)
・規約敷地の定め(マンション敷地とは別に離れた敷地を駐車場にするなどの定め)
・専有部分と敷地利用権の分離処分を可能とする定め(稀な定め,団地敷地での共用部分を分譲業者へ留保する定め)
・専有部分と敷地利用権との持分の割合についての所有権に関係する定め(持分とは異なる敷地利用権の所有に関する定め)

以上4つの事項となります。

区分所有法等の法律上で定められている以外の任意に決められることのできるルールを規約上に定めることになります。

この公正証書になった原始規約は、法務局への表示の登記を申請する添付書類となります。

これは、分譲会社でしか把握していない事項の権利関係を登記簿に記載することになり、管理組合の体をなしていない段階での区分所有者によっての集会での決議で作成するというわけにはなかなかいかず、そもそも、分譲会社からの原始規約でのルールがなければ販売が難しいからということで作成されます。