マンションでのトラブルには、様々なものがあります。

ペット飼育、騒音、管理費等の滞納、漏水事故等々、数え上げるときりがありません。

トラブル解決に向けて、管理組合運営を管理会社へ委託している場合には、委託範囲内での相談は可能でしょう。

しかしながら、居住者同士の個人間レベルの争い、騒音やタバコの煙、駐車場内での接触事故といった問題は、理事会や管理会社との話し合いの中でまとめ、規約や細則の改正、周知掲示といった啓発し理解をもとめることがほとんどでしょう。

これでは、なかなか強制力を求めることは難しいのが実状ですね。

そこで、ちょっと違った案内を申し挙げたいと思います。

それは…民事調停です。

民事調停手続きは、裁判のような裁判官による決着を求めるものではなく、話合いにより、お互いが合意することで紛争の解決を図る手続です。

若干話が逸れますが、この民事調停は、裁判外紛争解決手続(ADR)の1つとなります。

このADRには、裁判所での弁護士が代理人になるだけでなく、弁護士法72条に反しない範囲において、ADR実施機関において専門家(司法書士、弁理士、建築士など)が代理人を務め紛争の解決を計ります。

行政機関で行われる、建設業法に基づき、建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るための建設工事紛争審査会や公害等調整委員会設置法に基づき、公害紛争について、その迅速かつ適正な解決を図ることを目的とする公害等調整委員会や裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の施行にともない民間機関でも交通事故紛争処理センター、日本スポーツ仲裁機構などがあります。

話は戻り民事調停では、裁判よりは費用が安く、裁判所の窓口やインターネットから申立書を取り寄せ、簡単に申立てができ、終了までの手続も簡易です。

民事調停では、民事事件(騒音、滞納、タバコの煙、駐車場と駐輪場での接触事故、不正を行う理事長の解任についてまで)の全般を話し合いで解決を求める制度です。

調停の申し立て後、調停期日の呼び出しが互いに通知されます。

調停では、2名の調停委員が申立人と相手方の意見を聞き、場合によっては、相手側とは顔を合わせず交互に意見を聞く場合もあります。

ただし、相手側の欠席や話し合いがまとまらなければ調停不成立となり解決はできませんが…。

そのような場合には、通常の民事訴訟で解決を求めます。

裁判となると費用の価格が桁違いとなりますね。

逆に、調停費用の極端のことを言えば、申立書の印紙代だけで低額で相手との
交渉を求めることが公の場でできます。

例えば、滞納については、調停でのまとまった意見が「調停調書」となり、調停調書は、債務名義となり強制執行も行うことができ、有効と思われます。

基本、民事調停は話し合いの場です。

相手側は欠席してもお咎めもなく、調停が不成立するだけで、現状に戻るだけですが、調停によって得られたいろいろな資料に基づいて、相手方の実情を聞き出す有効な手立てのひとつとも言えるのではないでしょうか…?

個人間での争う話、理事会での悩みの種であれば、このような手続きもあることを
当事者にお知らせしてみてはどうでしょうか?