分譲マンションでは、専有部分と共用部分に分かれています。

瑕疵の部分が専有か共用かによって、瑕疵に対する対応を個人で行うのか、管理組合で対応するのかが分かれます。

(瑕疵とは通常、一般的には備わっているにもかかわらず本来あるべき機能・ 品質・性能・状態が備わっていないことをいい、建築基準法令に満たない違法建築物であったり、売り文句に合わせ、買ってみれば、販売パンフレットとは違う資産価値の期待を裏切る状況などをいいます。)

専有部分であれば区分所有者個人が、共用部分であれば管理組合が対応(なお、保存行為として区分所有者が対応することもありですが…)し、補修請求や損害賠償請求を行うことになります。

民法上の条件では、損害賠償請求といったとことになりますが、現状では、アフターサービスによる補修請求ができたり、品確法の制度により、売主や請負人に対し、補修請求のみならず、損害賠償を求めることができます。

(アフターサービス…販売後の品質保証に基づき、修補などを販売会社へ求めることができる条件を、売り手側が制度化する補償)

(品確法…住宅の品質確保の促進等に関する法律の中で、構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分に、隠れた瑕疵があった場合に、売主が買主に対し引渡した時から10年間、特約で20年間、損害賠償責任や瑕疵修補責任を負うことを定めている。)

では、アフターサービス経過後や品確法による10年の経過後、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分以外の隠れた瑕疵に対する管理組合としての補償を求めることはできないのでしょうか?

答えは…あります。
前述の民法により救済を求めることです。

民法には、瑕疵担保責任、不法行為、債務不履行について定めた条文があります。

ただし、その中でも瑕疵担保責任については、買主が瑕疵の事実を知った時から1年以内に行なわなければいけない等といった条文がありますが、瑕疵担保期間は、宅地建物取引業社が引渡しの時から2年を過ぎれば請求できなくなるように事実上、期間を短縮して契約を作成していますので、管理組合にとって福音とは、言い難いです。

そこで、品確法を基本に、民法の不法行為や債務不履行についての問題解決の糸口があります。

(不法行為…民法709条、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。)

(債務不履行…民法415条、債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。)

不法行為、つまりは、法律違反や道理、道義に背くことが、裁判所で認められば、損害を賠償してもらうことを20年間、加害者に求めることができます。

ただし、法的安定性を求めるため、時効の趣旨に従い、不法行為責任も加害者を知った時から3年間、不法行為の時から20年を経過したときは、時効により権利が消滅します。

しかしながら、マンションの欠陥についての不法行為の責任を加害者に求めるには、被害者となる管理組合側がそれを証明する立証責任(簡単に言うと、どのような不法があったかの証明を被害者が行う)があり、ハードルが高いといえます。

その場合が、債務不履行による損害賠償の請求です。

立証責任が、相手側が帰責事由のないことを証明しなければいけなく、請求側である管理組合としては、債務不履行の事実を訴えればよく、損害賠償を求めるハードルは低くなります。

低くなりますが、不法行為の責任追及が20年の時効とは違い、債務不履行の責任追及の時効は短くなり、債務不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効は原則として10年となります。

簡単ではありますが、建物の瑕疵に対するマンション管理組合の対応としては、上記の対応方法等があります。