大規模修繕工事の正確性も担保できる瑕疵保険について

困った施工会社選定はどうしよう?

「うちのマンションも築十数年過ぎたし、そろそろ大規模修繕工事の時期かな…?」
「管理会社よりマンション建物調査診断が行われ、初めての大規模修繕工事の提案があったけど、どうしたらいいのだろう…?」

このように、頭を抱え、不安視する役員様も多いことでしょう。
マンションにとって初めて経験する大掛かりな工事…。

「どこから手をつけたらいいのだろう?」
「責任施工方式?設計監理方式?」
「住宅公募で施工会社から見積を取ったら、管理会社の見積より大幅に安くて、どこに頼めばいいのだろう?」等々、悩みが尽きません。

そこで、大規模修繕工事の工事施工会社の選定の際に気を付けることは…


まず、新築工事とは違い、マンション居住者が居ながらの工事となるので、居住者に配慮できる経験豊富な工事施工会社であること。


また、信用ができる会社として、工事施行中、施工後と工事についての保証が十分担保されている工事施工会社であること。

等々あります。

万一、工事施工中に工事施工会社が倒産しては、重大な問題、損害の発生となります。


工事請負契約時に工事施工会社が倒産しても、完成を担保するような別の工事施工会社を取りつけられるように、工事完成保証会社を契約時の条件としましょう。

「工事に際には、設計コンサルタントに頼んで、工事施工会社とは分離して発注すれば、工事内容の正確性が担保され間違いないと思うが、費用が増加してしまい十分な工事が進められないから頼めない」このような悩みも聞かれます。

その場合に、お勧めするのが「大規模修繕工事瑕疵保険」の活用です。

大規模修繕工事瑕疵保険

大規模修繕工事瑕疵保険は、平成21年10月1日に施工された「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」により、国土交通大臣が指定した住宅の瑕疵担保責任保険を取扱う保険会社が行う保険です。

この保険、以下の場合には、とても助かります。

・工事後に工事内容に瑕疵が認められるようであれば、工事施工会社に修補を求めますが…すでに倒産していた。
この場合には、管理組合へ修補費用保険金が支払われ、別の工事会社により修補が行われるよう担保されます。

・工事のミスによる瑕疵のはずだが、工事施工会社がなかなか修補してくれない。
この場合にも、管理組合へ修補費用保険金が支払われ、工事施工会社とのトラブルも防ぐことができます。

なお、保険金の対象は、修補費用のみだけでなく、工事中に居住者が生活できない場合には、ホテル代や施工上により車の外部の移動が必要な場合には、その駐車料金もある程度の保険が支払われます。

大規模修繕工事瑕疵保険への加入は、工事施工会社から加入することになります。
およそ、工事費の0,5%程度です。

保険対象部位は、

①構造耐力上主要な部分 5年
②雨水の侵入を防止する部分 5年
③給排水管路 5年
④給排水設備・電気設備・ガス配管設備 5年
⑤防錆工事を行った手すり 2年

となります。オプション(特約)として10年への延長にできたり、保険対象部位を、外壁タイルの剥落等に対しても保証範囲を広げることができます。

瑕疵保険の審査には事前審査や工事中の現場検査、工事完了後の検査があります。

保険会社としても、瑕疵があるからというだけで、簡単に支払いを行うわけではありません。

専門家(建築士等)による十分な検査を行うことにより、工事内容の正確性を確認します。
事前審査…
図面、仕様書等の書類を審査して、設計施工基準に適合しているかの確認

工事中の現場検査…
工事中の検査では、設計施工基準をもとに細かいチェックがなされ、その都度手直しの指示がなされます。

工事完了後の検査…
計画通りに工事されているかのチェックはもちろん、工事中の指摘項目の改善がなされているかの確認がなされます。

このような、保険会社による入念検査が行われれば、通常、建築確認申請を必要としない大規模修繕工事ですが工事内容の正確性が担保されます。

予算上、設計コンサルタントによる工事の設計監理方式行えない等の場合に、管理組合にとっては大変利用性の価値がある保険制度となるでしょう。