水道光熱費等を特定承継人に請求できるのか!?
管理組合が徴収する水道光熱費等を特定承継人が支払う義務があるのか?
その答えは…支払われるための「特段の事情?」が必要なようです。
管理組合が一括して水道光熱費等を支払う一括検針一括徴収方式を採用しているような場合に、名古屋高裁平成25年2月22日の裁判例では、専有部分の水道料金の支払い義務について、特定承継すると定められた規約を無効としました。
ただ、規約上に定められる特定承継人の支払義務規定が、全て無効となるわけでなく、「特段の事情(必要不可欠な行為で区分所有者全体に影響を及ぼすなど)」があったか否かで判断が分かれることになります。
結論として、水道光熱費等を管理組合が一括検針一括徴収により立て替え払いをしている条件をもとに各区分所有者へ費用を請求する現状で、特定承継人の支払義務を規約や細則に定めること自体は有効とされますが、「特段の事情」があるかないかは裁判所より判断されるため、特定承継人の支払義務規定には、慎重な対応が必要ということになります。
駐車場使用料を特定承継人に請求できるのか!?
駐車場使用料の特定承継についての考えは、マンションの維持管理上必要となる費用のため特定承継を認めるべきとする立場と、使用者本人の個人的な管理組合との債権債務の関係のため、特定承継はしないとする立場があります。
結論から申し上げますとやはり慎重な対応が必要ということになります。
通常、駐車場や駐輪場の使用料は、管理組合の管理費等への収入となり、維持管理上の費用となります。
これは、別途契約により専用使用権を区分所有者に使用させることで、「共用部分の管理に関する事項」にあたるため、規約により滞納賃料分を特定承継人にも行使できると東京地裁平成20年11月27日で判示されました。
しかしながら、特定承継するかしないかは結果として断定はできません。
現状で特定承継について管理組合が準備することは、駐車場が規約上の共用部分とされ、その使用料がマンション維持管理上の管理費等に充当されていることを規約にて明確に
示されていることが行われ、その使用契約等が専用使用権であり、滞納については特定承継されることが規約上に規定されていることが有効となります。
そして、それら各条件を考慮して、最終的に特定承継するかどうかの判断を裁判所が行うことになるのが現状のようです。
専用庭,ルーフバルコニーの使用料は特定承継人に請求できるのか!?
専用庭やルーフバルコニーは、専用使用権とされ、共用部分と近い性質のものであり、区分所有者が持つ区分所有権に付従する権利として売買等の場合には専有部分と一体的に譲渡されることが規約上も予定されています。
つまり、これらの専有部分に付従する専用使用権に対する使用料規定は、区分所有法第7条の「規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権」となり、区分所有法第8条の特定承継人の責任ある債権と解され、管理組合は、支払いを行使することができます。