一般的には、人気のあるタイルを外壁に施工することが主流と言えるでしょう。
外観上、とても見栄えがして、素敵に見えます。
しかしながら、この外壁をタイル張りした場合に、外壁落下により死亡事故が発生した過去もあります。
外壁をタイルで仕上げた場合には、浮きや剥離など施工の不具合を起こしやすい傾向があるからです。
事故が起これば、管理組合がその賠償の責任を負うことになります。
損害が発生すれば、治療費、休業損害、慰謝料などを管理組合が責任を取らなければなりません。
あきらかな施工業者の施工ミス(建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵)であれば、
施工業者が責任を負うこととなりますが、10年も経過すればタイルの浮きも出るようになり、浮きをそのまま放置すれば、当然落下する危険性は高まります。
民法717条には「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」とあります。
これは、管理組合が外壁落下の危険性の予見ができなくとも建物などの工作物の瑕疵により他人に損害を与えれば、注意していても管理組合(工作物の所有者)が責任(無過失責任)を負う定めとなります。
損害の補償は、保険で対応するのが通常ですが、保険に加入してないなんてことがあれば、管理組合の財産と言える管理費や修繕積立金をもとに賠償する悲しい結果となってしまいます。
当然に補償額が不足する場合には、区分所有者が個人的に負担分担しなければいけません。
そうはならないように、定期報告制度の外壁の調査・検査を行い、注意をしなければいけません。
定期報告制度は、建築基準法により定められた報告制度です。
報告先は特定行政庁から事務委託を受けている法人などになります。
外壁の調査・検査は、竣工または外壁改修から10年経過すれば外壁の全面打診調査の実施をしなければいけません。
また、10年を経過しても外壁改修を行わない、歩行者等に危害が加わる恐れのある部分の外壁全面打診調査を10年超えて行っていない場合には、3年以内に、外壁の全面打診調査を行わなければなりません。
管理会社への委託をするマンションでは、当然ながら上記の報告制度は承知しているはずです。
管理会社からの補修の要求を無視し、全く放置して何の対策を取らないことになれば、理事個人の職務怠慢によって個人責任を問われる可能性があるので注意しなければいけません。。
このようなことがないように、専門家を交えてしっかりとした対応が必要でしょう。