マンション管理組合で管理規約がない?!
…とあるマンションでの話。
竣工時より理事長を務める役員が、管理組合、理事会での話合い、合意形成を行わず、独断で管理会社を変更したり、工事の発注、修繕積立等の値上げを行う管理組合がありました。
他の組合員は、当初は何も気にせず、毎回の総会では議案に対して承認をすることが必然的とされていました。
しかしながら、度重なる修繕積立金等の値上げ、不透明な工事の発注など、管理組合運営上の現状の危険性や心配に思う居住者が現れ、適正な管理組合の運営をしたいと願う話がありました。
その居住者は、「当マンションでは管理組合もなく、管理規約もあるかどうか分かりません。」とのこと。
分譲マンションの共同の管理、法律上当然に区分所有者は必ず組合員となり管理組合は設立されています。
では、管理規約は必ずなければならないものなのか?
この件については、区分所有法大30条1項「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」とありますが、事実上99%以上の管理組合では定めており、設定は義務と言うべきでしょう。
管理規約の設定,保管は管理組合運営上は必須
管理規約を基本とし、ルールに従って役員決め、総会運営等を行います。
管理規約があるかどうか分からないのであれば、まずは、理事長に確認しましょう。
区分所有法第33条1項「規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。」とあり、管理者(通常は理事長)が保管することが原則とされています。
管理規約は、区分所有者数分の冊数が作られ、区分所有者全員が保管するものではありません。
また、管理規約の保管場所については区分所有法第33条3項「規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。」とあり、掲示板や管理人室、建物の出入口部分に掲示されているなどすぐに管理規約がどこにあるのかが、分かる状態にしなければいけません。
そして、管理規約については、利害関係人より請求があったら、正当な理由を除き、閲覧させなければいけないと区分所有法上で定めており、管理規約の閲覧については、区分所有法第71条1項2号に、規約を保管する者(管理者以外の保管者も含む)が、正当な理由なく閲覧を拒んだときは、20万円以下の過料に処せられるといった罰則規定があります。
当然ながら、区分所有者たる居住者には、規約を閲覧請求することができ、閲覧できないことはありえません。
管理組合運営を適正に行うには、管理規約のルールに従って行ないます。
まずは、管理規約の確認が必要となるでしょう。
ただ、注意が必要なのは、長年管理規約があってもなくてもと何とも言えない状態の場合は、いざ、管理規約があり、安心するのもつかの間、手元で定められていることを確認してみると、内容がマンションの現状にそぐわず、改正が必要となってしまう可能性は高い(原始規約はさらに改正必須!?)でしょう。
そうなると、管理規約は特別決議事項とされ、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議が必要となってきます。