管理組合の役員選任

管理組合における管理の方針決定の場である総会。

その方針決定をスムーズに進めるよう執行するのが理事会。

理事は区分所有者から数名選びます。

近年は、マンションの賃貸化や高齢化により役員のなり手が不足している現状があります。

そこで役員が何期にも渡って続けたり、輪番制の順番が早く回って来てしまうといった
不公平感が現在問題となっています。

理事は、標準管理規約上、現に居住する組合員のうちから、総会で選任することとなっており、立候補、推薦、輪番などの選任方法がありますが、多くの管理組合では輪番制を採用して役員決めを行っています。

この輪番制を採用しているため、役員のなり手がおらず、不公平感生まれています。

おおよその管理組合では、各フロアーごとに1号室から順次役員を経験することにしていますが、フロアーによっては賃貸化が多く、外部区分所有者が所有している場合には他のフロアーより役員の任期が早く回ってしまうといった問題があります。

そのような場合には、不公平感がないよう輪番についての見直しをしなければいけないといった新たな問題が生まれます。

では、この不公平感をなくす場合にどのようなことを行えばいいのでしょうか。

そこで考えられるのが役員報酬制度や協力負担金制度、第三者管理者制度があります。

第三者管理者制度については別の機会で書くとして、ここでは、役員報酬制度と協力負担金制度について書きます。

役員報酬制度

多くの組合員は自分の仕事を持っており、その仕事の傍らで役員の仕事をこなすわけですから役員報酬を支払うことに自体、問題はないと思われます。

標準管理規約でも第37条2項で「 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる。」と定められています。

マンション総合調査では、およそ二割の管理組合で報酬を支払っています。

報酬額は各役員一律の場合に平均で一カ月2600円。理事長職に対しては平均9200円となっています。

報酬をもらうことによって、責任感をもって積極的に取り組むといったメリットがあります。

協力負担金制度(住民活動協力金)

平成22.1.16の最高裁判例に自ら専有部分に居住しない組合員が組合費に加えて

住民活動協力金を負担すべきものとする旨の規約の変更は、区分所有法31条1項後段「一部の団地建物所有者の権利に特別の影響を及ぼすとき」に当たらないとされた事例があります。

これにより、協力負担金を外部区分所有者に納める総会の決議は有効となりました。

ただし、高齢を理由や単に役員を拒絶することに対して、協力負担金を納めさせることには公平かどうかの判断を最高裁では取り上げていません。

なお、判例にある管理組合は協力負担金を管理費と修繕積立金の合計の15パーセント(金額にして2500円)上乗せしました。

この15パーセント上乗せする協力負担金の額が他のマンションにそのまま同様の金額を上乗せできるとはならず

最高裁が総合的に判断して結論を出したことに注意が必要です。

ですから、負担する金額については、十分に話し合って、多くの組合員の理解が得られるようにしないといけません。