家を一括購入すると、余計な利息を払う必要がなくすっきりとした気持ちで暮らしていくことができます。そのためコツコツと貯金をしたり財産を手放したりして、家を一括購入する人もなかにはいらっしゃいます。

しかし家の一括購入には、一部リスクも存在します。実際のケースを紹介していくので、参考にしてみてください。

・貯金を崩して家を一括購入した夫婦の例

夫婦は最近マンションを購入したばかり。小学生の子供と0歳児を抱えている多忙な夫婦です。元々は親からもらった一戸建てに暮らしていましたが、将来的なメンテナンスや立て替えの費用の手間を考えて家を売却。

この度、大型マンションを購入して引っ越しました。最初は慣れない部分もあったものの、共有部分の掃除は管理人にお任せ。また何かあったら、すぐに管理人に相談すれば良い環境に満足しています。

ただ一戸建てを売却した予算だけでは足りず、貯金を手放す必要もあったのには少し不満を感じていましたが、それでも夫婦は共働きなので、「互いに協力しあえば大丈夫」

そんな風に気軽に考えていました。

・夫が病気で失職

ある日のこと、仕事中に夫が倒れ病院に担ぎこまれます。医師に話を聞くと、完治に時間がかかる病気とのこと。2人でマンションのローンを払う計画が、一気に崩れだします。

失業給付を期待していたのですが、すぐに働けない夫に給付金が払われるのは当分先だし、保険も未加入。夫の病気が良くなっていかなければ、とても難しい話です。これから当分の間は、妻の稼ぎのみが頼り。

マンションの購入で、ほとんど貯金がない家計は大きくひっ迫するようになります。どうしてこんなことに・・・

・家計がひっ迫して子供を苦しめることに

家計のひっ迫は、すぐに子供の生活に影響してきます。0歳児の子供を私学の保育園に預けていましたが、家計がひっ迫してきたので退所。小学生の子供のために、文具を購入するのも難しくなります。

もし貯金があれば、夫の病気が完治するまで家計に余裕があったはず。しかしマンションの購入でほとんどの貯金を使い果たした家族は、今を生きるだけで精一杯です。

生活がこんなに大変になる日が来るなんて。子供にお菓子を買ってやることもできず、家族は非常に質素な暮らしをしています。子供への罪悪感を抱えながら・・・

・必ずしも一括払いが良いとは限らない

このケースの夫婦は、利息の支払いを躊躇するあまり無理にマンションを一括払いで購入しています。そのためほとんどの貯金を使ってしまい、不測の事態に備えられずストレスを感じながら生活をすることに。

これなら利息を払うことになったとしても、少しずつローンを払っていく生活が向いていたのかもしれません。夫の病気・事故など、何が起こるか分からないのが人生。

ある程度の貯金は手元に残して、万が一に備えていくことが大切になってくるでしょう。

家を買う前にやっておきたいたった3つの準備 (単行本・ムック) / 荒村泰啓