遮音性能を表すL値とは

マンション内で起こるトラブルで多いのが、騒音問題です。

壁や床、天井の向こうは、他の居住者が生活する居住環境。

東京地裁の判例では、上階の子供が飛んだり、走ったりしたことによる騒音により、精神的苦痛、食欲不振、不眠を訴えた者の慰謝料請求が認められた事例があります。

騒音については、被害を受ける者の受忍限度を超えるような不誠実な対応や非常識レベルの騒音などがあるかどうかで訴訟は判断されます。

そもそも、騒音に対する個人の反応には程度の格差があり、皆は、全然気にしないが、自分は非常に気にしてしまう、といった事情があり、非常に対応が難しい問題といっていいでしょう。

そこで、生活騒音に対する基準値を設けて、その遮音性能基準に適合するような床材や防音カーペットが開発されています。

一般的に床の遮音性能を表すものにL値というものがあります。

L値…
床の振動音、衝撃音に対する遮音性能を表す単位で、高音による軽量床衝撃音(LL…Light)と低温による重量床衝撃音(LH…Heavy)の二種類があります。

それぞれ、

軽量床衝撃音(LL)…
スプーンなどの食器や軽量で硬質なものが床へ落ちたときの下階へ伝わる衝撃音

重量床衝撃音(LH)…
飛び跳ねたり、走ったりしたときの下階へ伝わる衝撃音となります。

日本建築学会による遮音等級の推奨基準

L値が少ない程、遮音性能が高いことを表し、L値が大きい程、衝撃音が大きく聞こえます。

日本の工業製品に関する規格や測定法などの規格を表すJIS(日本工業規格)での軽量床衝撃音の防音性能の等級は、

LL-40➡ほとんど聞こえない
LL-45➡小さく聞こえる
LL-50➡聞こえる
LL-55➡発生音が気になる
LL-60➡よく聞こえる
LL-65➡発生音がかなり気になる

とあります。

そこで、日本建築学会では、マンションでの床衝撃音に対する適用等級を定めて、以下のような設計指針を発表しています。

特級(LL-40、LH-45)➡遮音性能上特に優れている
1級(LL-45、LH-50)➡遮音性能上望ましい
2級(LL-50、LH-55)➡遮音性能上ほぼ満足
3級(LL-55、LH-60)➡遮音性能上最低限度

この設計指針に基づく軽量床衝撃音床材についての設計には、防音カーペットが主な対策となりますが、重量床衝撃音に対しては、床スラブを厚くするか、重いもの(アスファルトなど)を敷くといった大掛かりな仕様となり、変更には大変困難といえるでしょう。

音に対する反応は、人それぞれ違います。

音に対する対策は、上のような等級された設計基準があり、裁判所での判断基準ともなります。

音に対して不誠実な対応を繰り返してしまいますと損害賠償請求の対象となることは忘れてはいけません。