総会開催の準備,手続きは慎重に!?

総会審議での無効事例

マンションでは、年に1回定期に行われる通常総会と組合運営上、緊急に必要となる議案を審議するための臨時総会があります。

どちらもマンションにおける資産価値の維持向上等に関する重要な決断を行なう意思決定の場となります。

総会は管理組合内に重要な議案を審議するため、総会の開催にあたっては、区分所有法や管理規約上での瑕疵のない準備、進行が必要となります。

東京高裁H7.12.8の裁判例では、規約の改正の際に必要である「議案の要領」が招集通知に記載がないため無効ではないかという事案があります。

区分所有法第35条5項には、規約の設定、変更、廃止の際の総会の招集通知と同時に議案の要領をも通知しなければならないとされています。

判決は、「議案の要領の不備は、組合員の適切な議決権行使を困難ならしめるものといえ、軽微な瑕疵ということはできない」とされ、総会での決定が無効となっています。

軽微な瑕疵であれば総会も有効になる

東京地裁S63.11.28の裁判例では、規約変更にあたって、招集手続きに瑕疵があるとゆうことで無効ではないかと争われました。

しかし、議決権総数60に対する57議決権数により、原告以外の一致で決議がされた事実に基づき、手続き上の瑕疵は軽微とされ総会決議は無効とされませんでした。

また、神戸地裁H9.5.27の裁判例では、招集の通知が会日より少なくとも1週間前までに発されなければならないにもかかわらず、総会の2日前に通知が配布されたことについて、手続きに瑕疵があるのではないかが主張された事例があります。

区分所有法第35条1項「集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。」(規約で伸縮できる)とあり、

マンション標準管理規約第43条では、「総会を招集するには、少なくとも会議を開く日の2週間前(建替え決議又はマンション敷地売却決議は別)までに、会議の日時、場所及び目的を示して、組合員に通知を発しなければならない。」とされています。

しかしながら、裁判例では、議案に対する原告の要望などの回答をあらかじめ求めているなど、突然決められたことではない理由によって、これも軽微と言えるような瑕疵の状況のため審議が有効とされました。

以上以外にも総会に対する手続き上の瑕疵に対する裁判例は、様々とあります。

総会は、マンション管理組合運営上の将来を大きく変える決断の場です。

管理規約、法律上の手続きに則り慎重に行わなければいけません。