建物診断に対する管理組合の現状

建物診断は長期修繕計画の見直しや大規模修繕工事時期に行います。

その診断結果は専門的用語も多く、聞きなれない組合員にとっては判断、理解等が難しく、悩むところではないでしょうか?

実際の診断調査には、マンションに詳しい設計事務所等のコンサルタントが丁寧に詳しく解説する場合もありますが、必ずしも素人の組合員側に立ち、しっかりと説明することには限界があるようです。

そこで、管理組合側でも修繕委員会を設立し、修繕工事に対する最低限の知識の準備は必要かと思います。

長期修繕計画上のマンションでの調査内容には、外壁、廊下、階段、屋上、給排水管、設備等を調査します。

そして、各部のタイル、シーリング、防水、塗装等の劣化状況をもとに診断会社は管理組合へ報告します。

劣化状態の用語解説

では、調査による総合所見に対する調査会社の診断結果に対してどのような準備をすればよいのでしょうか?

下記に代表的な劣化診断用語を解説したいと思います。

・白華(エフロレッセンス)
外壁のコンクリート躯体や下地のモルタルのひび割れや温度変化等により、接着強さを上回るような状況が起こり、外壁が浮いてしまって、そこからタイルが剥がれてしまい、それらの部分から下地の石灰分などの可溶成分とともに表面に染み出し固まった白い状態、また、空気中の二酸化炭素と反応して白く固まり沈着する状況。

・白亜化(チョーキング)
鉄部や各戸ドア等の塗装面についての劣化状況の用語。塗装部分を触ると手に白い粉のようなものが付く状態で、塗料の塗膜部分の中にある顔料が粉化して表面に出ている状態です。紫外線や雨風により塗膜を保護していた合成樹脂が分解され劣化した状態で、保護膜がなくなり水分を吸収してしまい、コケやカビの発生原因となり美観を損ね、外観上の資産価値の低下だけでなく、吸水してしまうことにより漏水の原因ともなります。

・コンクリートの中性化
コンクリートは空気中の二酸化炭素により、アルカリ状態から酸性状態に傾き、中性化していきます。コンクリート自体の強度は変わりませんが、内部にある鉄筋に影響を与えます。中性化は鉄筋の不導体被膜を破壊して、鉄筋がサビや膨張を起こしてコンクリートを破壊してしまいます。これにより構造躯体に影響し、安全性が保たれなくなります。

・シーリングの剥離、痩せ、ひび割れ、軟化
シーリングとは目地部分を埋めるために使われている材料で、各境にあり水の浸入を防ぐ役割があります。接着剤の役割をするプライマーが不足してできる剥離や紫外線による影響での痩せ、ひび割れがあります。また、シーリング材と塗料の化学反応の相性が悪く、ぷにゅぷにゅ軟化する場合があります。これらの状況を放置することは漏水事故の原因になるだけでなく、構造躯体の鉄筋にも影響を与えることになり、放置することは危険です。耐用年数は約10年程で、足場を架設する大規模修繕工事の際には必ず修繕を行う工事となります。

等々、
建物診断結果にある専門的用語は数え切れないほどの用語があります。