我慢できない受忍限度超える騒音は民法上の不法行為

生活騒音の発生原因は?

マンションでは複数の人間が暮らす集合住宅です。

そこでは居住者同士で共同の利益を守るため、お互いの配慮がとても重要となります。

その配慮が欠けた場合には相手によっては損害となり、その損害を賠償する責任があります。

では、どのような場合に配慮が欠けたと言えるのでしょうか?

その一つがマンションでの騒音問題があります。

騒音に対する感じ方は人それぞれで人によっては不快であるが、同じ音でもまったく気にならない人もいるといった難しい問題です。

壁、床で囲まれた集合住宅、あらゆる生活音が壁や床を伝達し、その生活音をが個人の受忍限度を超え、精神的な苦痛をもたらすような場合は不法行為が成立し、損害賠償を負うことになります。

音を立てないようになるべく気配りすると同時に他人の発生する音を気にしないようにする配慮が必要と考えられます。

では、その生活騒音問題での発生原因にはどのようなものあるでしょうか。
・走りまわったり、飛び跳ねる音
・扉の開閉音
・話し声
・楽器の音

生活騒音は施工上の欠陥と言えるのか…

音の種類には空気中に伝わる空気伝搬音と床、壁、天井の個体を伝わる固体伝搬音とあります。

空気伝搬音が遮断できるように建築基準法では壁の材料、厚さが定められていますが固体伝搬音に関しては規定がなく、遮断が求められてはいないので施工上の欠陥とは単純に考えられません。

ただ、通常の日常の生活音が当たり前のように聞こえる場合は建築基準法、同法施行令に違反した欠陥マンションとなり売主に瑕疵担保責任を追及できるでしょう。

楽器の音・フローリングによる騒音の対策ポイント

楽器による音の騒音はマナーによる問題と同一と考えられ、人為的なものであるので住民の共同生活のルールを作ることによって解決の道を見つけましょう。

楽器の演奏時間を取り決めたり、防音装置を徹底するなど規約、使用細則に明記しましょう。

次に、フローリングによる騒音問題です。

フローリングの床は絨毯張より多くの音を下階へ伝搬します。

このフローリングの騒音問題では相手の受忍限度を超え、不法行為が成立することがあります。

従来の床では絨毯であったが途中から床をフローリングへ替え、子供の飛び跳ねる音、家具の移動が原因で不法行為を成立させ、裁判所がフローリングの床を絨毯使用に命令したり、相手方の慰謝料請求が認められた判例があります。

このように突然の専有部分のリフォームをふせぐために予め理事長への申請をお願いし、理事会にて審議、場合によっては専門的知識を有する者の助言を受けて十分な検討が図られるよう許可制にしましょう。

最悪の場合は差止請求・使用禁止請求・競売請求。

マンション騒音問題を放置して管理組合で関与しない場合には、ますます当事者同士の争いがエスカレートして刑事事件に発展しかねません。

そうならないためにも早急に現状を把握し、対策を考えるなどして居住者同士のコミュニケーションを図りましょう。

どうしても騒音問題について改善が見られなく、共同の利益に反するような居住者の場合には区分所有法57条の差止請求、同法58条の使用禁止請求、同法59条の競売請求を検討することになります。